Many Moons

邦訳は『たくさんのお月さま』です。
コルデコット賞受賞作品です。

ラズベリータルトの食べ過ぎで病気になってしまった
10才のレノア姫がほしがったものは、なんと「お月さま」。
王様は家来に、なんとかお月さまを姫に取ってくるよう命令しますが、
侍従長も魔法使いも数学者も、無理だと言います。
そこで道化師はレノア姫自身に、月がどんなものであるかを尋ね、
月を作って差し上げます。
でも王様は夜空に月があるのを姫が見たら、また病気になってしまう
と心配し、また侍従長、魔法使い、数学者になんとかしろと命令します。
各々、それなりの案を出しますが、いい案とは言えません。
そこでまた道化師が...。

偽物のお月さまにお姫様ががっかりするのではないかと、ハラハラ
ドキドキしながら読み進め、最後にホッとさせられます。

人の抱くイメージは、その人によって違う。
考えてみれば当たり前のことですが、私達は人が自分のイメージと
同じイメージを持っていると思い違いをしがちですよね。
姫の素直な考え方が可愛いのと、侍従長、魔法使い、数学者が
独自の権威ある方法を展開するのに対し、道化師が姫の考え方を
尊重することの対比が物語をおもしろくしています。

総語数3103語。
英文があるのは28ページ。
1ページに3~19行、平均10行です。
Native の4-8才向けとなっていますが、やや文章が多い印象です。

難しい単語は surfeit (発音:サーファッt、食べ過ぎ)、chamberlain
(発音:チェンバリン、侍従)、parchment (羊皮紙)、frown (発音:
フラウン、しかめ面をする)、scarab (黄金虫)、amber (琥珀)、
midget (小人)、frankincense (発音:フランキンセンス、乳香)、
ambergris (竜涎香)、myrrh (発音:ミルラ、樹脂)、troubador
(発音:トゥルーバドゥール、吟遊詩人)、minstrel (吟遊詩人)、
Araby (アラブの国)、molten (発音:モウルtn、溶かされた)、
rage (激怒)、wizardry (魔法)、conjure (魔法で〜を出す)、
divining rod (占い棒)、wand (魔法の杖)、sphere (球)、behold
(見守る)、compound (調合する)、philter (媚薬)、unguent (軟膏)、
potion (薬、一服)、wolfbane (=wolfsbane、トリカブト)、
nightshade (ナス科の植物)、ward off (避ける、防ぐ)、
seven league boots (7リーグ・ブーツ、ひとまたぎで7リーグ
(=21マイル)も歩ける魔法のブーツ)、cloak of invisibility
(隠れみの)、elfland (妖精の国)、summon (呼び出す、召集する)、
dilemma (発音:ディレマ、ジレンマ)、asbestos (アスベスト、石綿)、
jester (道化師)、motley (まだらの服)、lute (リュート、ギターに
似た形の楽器)、strum (弦楽器を軽くかき鳴らす)、goldsmith
(金細工職人)、marble (ビー玉の意味と大理石の意味の両方があり、
この絵本には両方とも出てきます) とたくさん出てきますが、
ほとんどが侍従長や魔法使いが王様にしてあげたことのリストの
中の単語で、挿絵を見るとわかるものが多いです。
物語そのものの単語はそれほど難しくはありません。


(アマゾンのサイトでは中身が少し見られます)

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