『子どもと英語』
副題に「これだけは知っておきたい」とあります。
mpi(旧:松香フォニックス)会長の松香洋子氏の本です。
第1章では「英語」にもいろいろあること、日本人が英語が苦手
な理由、「英語」を得意にするには何に重点を置いたらいいか、
「国際人」を育てるには(マナーなど)について書かれています。
どれも新しいことはないし、具体的に深くは書かれていません。
第2章では必修化される小学校英語について書かれていますが、
当然ですが、年間35時間では親が期待するような効果は期待
できないと書かれています。ただし、年間35時間でも、必修化
されたことを非常に評価されています。
小学校から大学までの英語教育の連携に関しては希望的指針が
述べられていますが、実際に大学に勤務する者としては
書かれているような連携は数年の単位では不可能で、「理想論」
に聞こえます。
第3章では子どものための英語教育について、子どもが言語を
習得しやすいこと、習得には個人差や環境差が大きいことなどが
書かれていますが、既知のことです。
また、「日本の子どもの英語習得の発育段階」は大きく4段階で、
第1段階(0-5歳):意味はわからなくても身体で楽しむ時期
・・・
第4段階(11-12歳):英語の文字に興味を持つなど、知的
好奇心旺盛で、何か達成感を求める時期
と分類されています。
私個人の感想かもしれませんが、あまりにもゆっくり。もっと
子どもは賢いはず。
その後に2才ずつに区切って、その時期の子どもの特徴が
書かれていますが、具体的にその時期から始める子にはどんな
教材とか、どんな注意が必要かなどは何も書かれていません。
「子どもの英語教育にふさわしい6つの内容」として、歌と
チャンツ、ゲーム、絵本、会話表現、フォニックス、自己表現
があげられていますが、いずれも簡単な説明で、どのくらいの
レベルの子には何といった具体例はありません。
「民間の英語スクール選びのポイント」も、親向けに書かれて
いるのか、英語の先生向けに書かれているのか、読んでいて
???です。
第4章では mpi の「9年間カリキュラム」が紹介されています。
本来は小学校1年生から始めて中学3年生の9年間を想定し、
その間に英語が使えるようになるという方法です。
全体を3期に分けてありますが、第1期(2-10歳くらい):
音声獲得期、第2期(8-12歳くらい):発音から文字へ、
第3期(11-15歳くらい):自分を発信する という分類で、
これもかなりゆっくりで、しかも大雑把、具体性なしです。
アマゾンでの評価が2つあり、いずれも満点でしたが、その理由
がわかりません。
このメルマガをお読みの皆さんには、お勧めできない本です。